データサイエンスを誰にでも: 予測分析の重要性の理解 Data Science for Everyone: Understanding the Importance of Predictive Analytics

Stacey McDaniel | 20 9月, 2021

トピック: Predictive Analytics, data literacy, 特集記事, 編集者が選ぶ, データサイエンス, データリテラシー

Greg Kinsey氏は、EMEA製造プラクティスを率いる、業界エグゼクティブです。Kinsey氏とそのチームは、主にヨーロッパの産業企業に、デジタル変革の構想、計画、実行の支援を行っています。企業が「デジタルツールを手段として使用しながら、よりスリムで、環境に優しく、俊敏で、生産的になれる」手助けをしているのだと話します。

Kinsey氏は主に世界の自動車、電子機器、航空宇宙、消費財の製造部門と30年以上仕事をしてきました。このブログで、データサイエンスについての考え方をお教えいただきます。

分析の民主化はどれぐらい重要でしょうか?

私は、業界のほぼすべての仕事において、データ分析を要とすることがとても重要だと考えます。今日の世界では、どの業界、もしくは役割においても、工場やオフィス、サービスセンターあるいは顧客対応でも、適切なデータ分析を手元に備えておくことが重要です。データがあれば意思決定がより適切なものになり、普段の仕事も最適化できます。データは間違いを未然に防ぎます。仕事で適切なデータがあると、生産性が向上し、ストレスが軽減され、仕事の満足度が向上します。

すべての人にとってデータリテラシーはどれぐらい重要でしょうか?

データリテラシーは重要ですが、もっと重要なのは、家でデータを使用するように職場で簡単にデータを使用できるツールが必要ということではないでしょうか。このデジタル革命は最初に、消費者革命として起こりました。つまりは、電子商取引、ソーシャルメディア、個人データです。ほぼすべての人の家にデジタルデバイスがあり、それは手元にあったり、手首についていたりします。どのような趣味を持っていようと、それにもデータが使われているはずです。マラソンランナー、料理愛好家、音楽家でも、骨董品の修復でも、どんなスポーツでも、データが関わっています。現代の個人の生活において行っていることすべてにおいてデータが使用され、そのデータのおかげで生活がもっと意義深くなっているのです。このような完全な切り替わりは、産業界の仕事でまだ見られません。

業界の一部の人はすでにデータを収集し、レポートしていますが、仕事を向上させるために必要な正しい分析を得ているとは限りません。この問題はデータリテラシーというよりも、適切な環境を整えたり、適切な場所に使いやすい適切なツールを置く必要がある組織に関することなのです。そこから、働く人々全体を分析する民主化へと発展します。

あなたのデータリテラシーはどのくらい?5つの質問に答えることができるかどうかをクイズで確認してみましょう。

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データサイエンスをもっと近寄りやすいものにして、ユーザーコミュニティを拡大すべきでしょうか?なぜこれが重要なのでしょうか?

データサイエンスは、すべての活動の一部になる必要があります。「データサイエンティスト」という言葉は誤解を招きやすいものです。基本統計を使う誰もが、データサイエンティストと考えられるのです。厳密なデータ使用は、ほぼすべての職務で増加しつつあります。ですから、最終的にはどのような仕事でも、その一部として、誰もが「データサイエンティスト」になります。

私は1990年代、Six Sigma運動開始に深く関わっていました。この時に、業界の作業者に基本統計ツールを与えることがもたらす力を認識しました。彼らのことを「データサイエンティスト」とは呼びませんでした。代わりに「ブラックベルト」という言葉が浮かびました。作業者はデータサイエンスを用いて、工程を記述し、問題を解決し、基本的な分析を日常業務に適用しました。これは、データサイエンスが業界の運営に根付いた瞬間です。Six Sigmaはデジタル変革の礎となりました。

今日、経済界はようやくデータの価値を受け入れるようになりました。適切なデータを使用することで問題解決が早く簡単になるため、生産性、意思決定、また従業員のストレス軽減に大きな影響を与えることが証明されています。

デジタルはIT部門内限定の話題でしょうか?

まったくそんなことはありません。デジタルは全組織的な話題です。データと分析、関連ツールの使用は、ほぼすべての職務に広がるべきです。日常業務に役立ちそうなデータを、全従業員にアクセス可能にせずに、少数の「専門家」の手の内に隔離し続けている企業は、非常にたくさんあります。

今、運用管理者がその職務のデジタル戦略も保持する世界へと移行しています。ですから、メンテナンス部門、品質部門、マーケティング部門、またはサプライチェーンの担当者には、その職務のデジタル化に責任があるはずです。

Hitachiとして私たちが行うコンサルティング業務の多くは、職務リーダーとの協力です。

IT部門はデジタル化をサポートしていますが、デジタル変革は、ユーザーの居場所すなわち運用の観点から推進されています。運用管理者は、デジタル化をどこから開始するべきかを一番よく知っており、将来の運用のビジョンも持っていることが多いです。最高のアイデアの多くは日常業務で働く人々から生まれるので、デジタル設計の取り組みに関わらせることが重要です。

これは、新しいシステムが実装され、組織がITに合わせて作業方法を変えなくてはならなかった20年前からの変化です。多くの企業が、固いMESまたはMRPアプリケーションの要件に業務を適応させていました。これにより、操業の革新や最適化が進まないことがよくありました。

今は逆転しています。作業工程に適したデジタルインターフェイス、アルゴリズム、プラットフォームを作成できるチャンスがあります。俊敏な手法は、解決すべき問題と必要なユーザー体験に重点を置いています。IT部門はこの革新をサポートし、ITインフラストラクチャ全体に適合させる必要があります。 

組織は、ローコードとノンコードのソリューションへの投資を優先させるべきでしょうか?

そのとおりです。スマホをどう使っているかを考えてみてください。スマホで有益なことをするのに、コード化の知識はいりません。職場の分析ツールでも同じことが言えます。ユーザー体験は、迅速、簡単で、関連性があるべきです。

経済界におけるIT時代の初期、専門家しか使えない高級ツールでした。「プログラマー」と呼ばれていた人たちを覚えていますか?今日は、万人向けの分析ツールを見つけるだけです。Hitachiでは、高度な言語での広範なプログラミングやコード化を必要としないソリューションを作成しています。

データ駆動の専門家は常に、何が業績に最大の影響を与えるかを予測しようとしています。予測分析があれば、数秒で、最も重要な因子を特定できます。なぜこれがそれほど重要なのでしょうか?  

予測分析は、物事の流れを大きく変えるものです。業界で今日使用されているほとんどのデータは後ろ向きです。過去に何が起こったかを記述する履歴データです。一部の領域では、リアルタイムデータがあり、今何が起こっているのかを見ることができます。今日の高度な分析があれば、原因因子の挙動をもとに、将来何が起こるのかを見ることができます。たとえば、天候が操業に影響を与える、といったことです。または、為替レートの大きな変化が費用構造に影響を与える、または、消費者の好みが急変する、などです。こういった因子に関するデータを集めて分析し、今日、明日、何が起こるのかを理解します。来週、来月の予測分析を開始するために、機械学習と因子データに基づく予測分析を行い、将来を予測します。

これを「タイムトラベル」と考えてください。予測分析で「もしも?」と尋ねることで、未来を旅してシナリオを作成できるようになるのです。もしも、市場がある方向に進み、需要がある形に変化したら?もしも、プロセスを加速したら、または減速したら?製品の設計変更のシミュレーションは?もしも、経済的または政治的結果の影響を考慮できるとしたら?それは運営している経済または規制環境にどのような影響を与えるか?いくらでも例をあげることができます。

この因子すべてをまとめて、翌年、翌四半期、翌月のシナリオを引き出します。この異なる特性要因関係が、未来にどう作用するかが見え始めます。では、どう対応すればいいでしょうか?このような未来のシナリオでは、どのような変更または是正処置が必要になるのでしょうか?ここがポイントです。未来のパフォーマンスを最適化します。

重要なのは、こういうわけです。前に乗りだし、何が起こるのかを予測できるため、事業、組織、プロセスをより適切に管理して、起こる変化に対処することができます。俊敏になるということです。

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エンジニアは、コード技術なしのローコードでデータサイエンティストに変われると思いますか?

変われます!私はエンジニアとして教え込まれました。機械工学の学士号を取得しています。工学とは、問題解決、数理モデル、科学的方法の応用であることを学びました。データサイエンスはその一部です。

データにアクセスして使用するのに複雑なプログラミングをそれほど必要としない技術が現れたことで、エンジニアリングコミュニティ内のデータサイエンスの使用が増えています。ですが、狭い範囲にとどまる話ではありません。機械を操作し、車両を運転し、機器を保守点検し、製造の職務を遂行する熟練作業者が、エンジニアリングコミュニティを超えて、データサイエンティストになると、最大の利益になる可能性があります。経営役員を含む管理者もお忘れなく。同様に、「データサイエンティスト」になりつつあります。

全組織的により優れたデータと使いやすい分析ツールを備えたとき、「誰にでも使えるデータサイエンス」が可能になります。これが第4次産業革命の基礎的要素の一つであると思います。

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