石油・ガス業界のダウンタイムを削減:非生産時間(NPT)を最小化するデータ駆動型アプローチ Reduce Downtime in the Oil and Gas Industry: A Data-Driven Approach to Minimizing NPT

Oliver Franz | 12/23/2024

トピック: Minitab Statistical Software, Capability Analysis, Oil & Gas

世界的なインフレは安定しつつありますが、2022年と2023年における急速な価格上昇の残余効果は、依然として業界全体で感じられます。石油・ガス会社にとって、設備、材料、労働力の分野における運用コストの上昇は、財政への圧力を高めます。非生産時間(NPT)の削減は、この競争の激しい市場で収益性を維持する上で重要になっています。 

NPTとは、掘削作業が停止または遅延する時間を指し、多くの場合、機器の故障、気象条件、または物流上の問題に起因します。このダウンタイムは、全体効率に影響を与えるだけでなく、収益にも大きく影響します。石油・ガス業界では、非稼働状態のリグやプロジェクト遅延に伴うコストが高いため、NPTは多額の財務損失につながる可能性があります。1年間でわずか27日間のNPTが、大手石油・ガス会社にとっては3,800万ドルの損失につながると推定されています。  

 

石油・ガス業界のNPTを削減:掘削エンジニアと保守監督者のためのガイド

このブログ記事では、ある中規模企業から収集した掘削ダウンタイムデータを検討します。同社は、掘削作業におけるNPTの削減を希望していました。  

彼らは、前月の39件の大きなNPT事象からデータを収集しました。これらの事象は平均して3.32時間続きました。チームは、これらの長時間にわたる事象の原因を把握したいと考え、Minitab統計ソフトウェアを使用してパレート図を作成し、機械的故障、電気的問題、オペレータエラーに起因する発生事象の割合をより詳細に把握しました。これはパレート図が、最も頻繁に問題の原因となるものを特定する上で理想的であるためです。ダウンタイムの原因の分布を視覚化することで、チームは改善のための取り組みを、最も影響の大きい分野に集中させることができました。 

すべての事例の50%強が機械的故障が原因であり、電気的問題が原因となったものは約38%でした。オペレータエラーは、NPT全事例の原因の約10%でした。3つの領域すべてを改善することはできますが、最初に機械的な故障に対処することが理にかなっている理由は、この種の故障が、ほとんどのダウンタイムに起因しているためです。 

データをさらに細かく分析するために、チームはどの機械的要素が故障しているかを正確に把握したいと考えました。彼らは再度パレート図を使用して、機械的故障が何に起因するかを確認しました。機械的故障が最大の原因であることはすでにわかっていたため、別のパレート図を使用してさらに掘り下げ、NPTを最も多く引き起こす特定の機器を特定しました。  

このデータにも明確な分布があり、ドリルビットの故障が、機械的故障によるNPT事例の56%の原因となっており、32%はポンプの故障に、9%はトップドライブの問題が原因でした。  

チームの目標はNPTの全体的な事例数を減らすことでしたが、彼らはこれらの事象が時折発生し続けることは避けられないとも認識していました。そのため彼らは、各事例の全体的な時間の長さを、1事例あたり4時間以下に短縮することを理想と考えました。また、1インシデントあたりの平均NPTの長さを、理想的には40%以上削減したいと考えました。  

 

改善のための介入

チームは、ダウンタイムの長さを減らすための明快なアクションプランを考案しました。この計画では、すべての機械的故障の88%近くを占めているドリルビットとポンプに焦点を当てました。彼らの計画は、以下のとおりでした。

 

ドリルビット: 

  • パレート分析を実行して、NPTの長さに影響する故障モードに優先順位を付けます。 
  • 故障パターンに基づいて、強化された予防保守スケジュールを実装します。 
  • 設置時および日常点検時に、厳格な品質チェックを導入します。 

ポンプ: 

  • ダウンタイムデータを分析して、NPTの長さに影響する重要な要因を特定します。 
  • 脆弱なポンプコンポーネントの予防保守プロトコルを策定します。 

  • 最適なポンプ操作とトラブルシューティング手法についてオペレータをトレーニングします。 

 

介入実施後の結果

チームは、上記の介入を実施し、継続的にデータを監視しました。3か月後、前月とほぼ同数のNPTインシデントが発生し、大幅な改善が見られました。彼らはMinitab統計ソフトウェアのMinitab Assistantを使用して、介入の実施前と実施後に収集されたデータセットに対し能力比較を行いました。

Minitab Assistant機能が生成したプレゼンテーション資料が示す結果では、介入前と介入後では明らかな改善がデータに示されており、平均NPT時間は3.32時間から1.6時間に短縮され、50%以上の改善となりました。また、同社が工程性能指数(Performance Process CapabilityPpk)を0.23から1.11に改善することができたことは、介入が実際に機能し、現在、十分に管理され、信頼できる結果となったことを示しています。  

この分析では、IM-R図を作成し、正規性検定を実行しました。

これらのデータはさらに、会社が実装した介入によって実現した新しい条件が安定したプロセスを実現し、NPTの顕著な削減につながったことを示しています。
 

データ駆動型の結果で収益を向上

このユースケースは、データ駆動型のアプローチが石油およびガス掘削オペレーションのNPTを大幅に削減できることを示しています。パレート図と能力分析を活用することで、掘削エンジニアと保守監督者はダウンタイムの根本原因を特定し、的を絞った介入を実施できます。ここに示す結果は、競争の激しい市場において運用効率と収益性の向上を目指す石油・ガス会社にとって貴重な洞察を提供します。  

このような事例では企業は、的を絞ったデータ収集、戦略的計画、継続的な予防保全を通じて、年間数百万ドルを節約できます。  また、Minitabのサポートチームは、いつでも対応しパーソナライズされたトレーニングを提供する準備を整えているため、貴重な時間、リソース、コストを節約するためのサポートと支援を得ることができます。  

 

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