今はデータの黄金時代です。私たちはデータ関連のニュースをよく見聞きし、企業の意思決定でも、私たちの日常生活でもデータが活用されます。生成および収集されるデータの量が増えるにつれて、データとは何か、どのように使うのかを理解することがますます重要になっています。ここで登場するのがデータリテラシーです。
データリテラシーとは?
データリテラシーとは、さまざまな方法でデータを読み、理解し、使用する能力です。これには、意思決定の際に適切な質問をすること、実用的な知識を構築すること、意味と文脈を他の人に伝えることが含まれます。データリテラシーとは、データサイエンティストになることでも、プログラミング言語を学ぶことでもありません。さまざまなタイプとソースのデータを理解することであり、どこで、どのように、何を分析するかを知ることであり、データの正確性、信頼性、有用性を確認することです。
「リテラシー(識字能力)」とは文字を読んで内容を理解する能力ですが、同様にデータリテラシーにも、文脈に沿ってデータを入手、解釈、伝達する能力が含まれます。データリテラシーを高めれば、組織はデータを効果的に用いて、望んでいるビジネス成果を出しやすくなります。
ビジネス環境でデジタルファーストの傾向が強くなる中、データリテラシーが低いと組織のデジタル変革およびビジネス環境での競争力が妨げられます。データリテラシーを達成すると、組織は大きな成果を上げることができます。Gartnerの調査によると、データリテラシーの高い企業は企業価値が3億2,000万~5億3,400万ドル高くなる可能性があります。
データリテラシーへの期待が高まる
基本的なデータスキルのセットは、もはや分析チームだけに必要なものではありません。IT、マーケティング、製品、人事、経理など、ほぼすべての部門にとってその重要性が増し、成功のための最も重要な要素になりつつあります。意思決定者たちは、従業員の日常業務の成功にとって最も重要なスキルはデータスキルだと考えており、意思決定者の82%は、従業員に基本的なデータリテラシーがあることを期待しています。
データトレーニングの需要と供給の差も拡大している
意思決定者と従業員のどちらも、従業員の成功にとってデータスキルが重要であると考えているものの、従業員が十分にトレーニングされているかについては意見が分かれています。また、どのような従業員が「データリテラシーあり」と言えるのかも、あいまいです。最近の調査では、データイニシアチブの必要性と実装の間にギャップがあることが明らかになりました。データトレーニングを受けたと回答した従業員は半数未満であり、これは組織の競争力を下げています。
調査で他にわかったこと:
データリテラシーのメリットは何か
より良い意思決定
ビジネスの運営には、毎日、朝から晩まで、戦略的な計画が必要です。誤った判断は、目標を達成する能力を大きく損なう可能性がありますから、重要な選択を行う前に、できる限りすべての情報を常に入手することが不可欠です。市場と消費者の行動、および製品とサービスのパフォーマンスについて詳しく知ると、より賢明な選択を行うことができます。
より良くROIを理解する
またデータリテラシーを活用すると、戦略的決定によって貴社で期待される利益が生み出されているかを確認できます。ROIを計算することはすでに日常業務の一部になっているかもしれませんが、そのようなデータをより深く理解することで、まったく違う成果につながる隠れた真実が見つかるでしょう。あらゆるデータを理解できるよう適切に投資することで、何がうまくいっているか、何に改善が必要かをもっと自信を持って認識できます。
顧客についてのより良い知識
どんな人に働きかけようとしているか知ることは、戦略の成功を決定づけます。企業が適切な手法を計画して実行するには、ターゲットとなる顧客についてできるだけ多くの情報を持っていなければなりません。顧客の動機、ニーズ、要望、感情科学に関する大量のデータを取得することは、顧客を引き付けるために不可欠です。その次の段階として、データリテラシーのある人がこのすべての情報を分析し、理解します。
より生産的な従業員
雇用主は、データスキルの高い従業員を高く評価しています。そのような従業員は、より生産的で革新的、またより良い意思決定を迅速に下せると考えられています。従業員も同じように考えており、データを使用できるとより良い意思決定を迅速に下せると回答しています。さらに、データスキルの高い従業員は、そうでない従業員よりも日常業務でできることが多く、やる気があり、生産的であると自分自身について感じています。
より幸せな従業員
データトレーニングは、従業員の満足度と定着率にも重要な役割を果たします。大半の従業員は、必要なデータスキルのトレーニングを十分に行う会社に勤務し続ける可能性が高いと回答しています。データ満足度が高い従業員は、チームや部門への高い満足度を表明する可能性が10倍になり、その組織にとどまる可能性が大きく上がります。
データリテラシーの課題は?
データリテラシーに阻害要因があると、個人や組織が効果的にデータを扱って理解するのが困難になります。阻害要因には、以下のようなものがあります。
従業員の抵抗
大企業は長年の伝統の上に構築されています。企業がデータ駆動型文化に移行しつつあるという認識を高めることは、成功に不可欠です。
スキル不足
企業の99%が、競争力を維持するにはデータが重要であることを認識しています。しかし3社に1社は、扱うデータを従業員がどの程度理解しているかについて不安を抱えています。データの管理と分析の両方を行える熟練した人的資源の不足が、38%の組織にとって課題になっています。
データ推進者の不在
抵抗は企業の上層部から生じることもあるため、データ推進者には最高データ責任者(CDO)や最高分析責任者(CAO)などの地位が必要です。
ガバナンスの欠如
企業はかつてないほどのデータの生成と消費を経験しています。そのため、経営陣と管理職はデータガバナンスに責任を持ち、洞察が適切に精査されるようにする必要があります。
組織のサイロ
データに精通した従業員は通常、ITまたはBIチームに参加し、しばしば意思決定者から隔てられます。このような従業員が知識を共有できるフォーラムを設置することは、組織全体のスキルを向上させるうえで重要です。
従業員の自信
Gartnerによると、調査に参加した従業員のうち、自分のデータリテラシーのスキルに自信があると感じているのはわずか21%でした。従業員の74%が、データを扱うときに気後れしていたり、嫌だと感じたりしていると回答しています。これは、データ駆動型の文化を取り入れるうえで大きな障壁となっています。
データリテラシーを構築し、高める方法
データの持つ機会を現実のものにするための鍵は、組織の人々の潜在能力を解き放つことです。データリテラシー戦略を計画する際に考慮すべき、鍵となる手順を以下にあげます。
Minitabでデータリテラシーのスキルを磨きましょう
企業や団体がデータ駆動型になるにつれて、データリテラシーを身につけた専門家の需要は増え続けるでしょう。ですからデータリテラシーのスキルを磨く時間を確保することが賢明な投資になる可能性があります。
Minitab Education Hubを活用すれば、さまざまなトピックとさまざまなレベルの学習計画、教材、トレーニングすべてに1か所でアクセスでき、組織全体でそれを展開して追跡できます。クイズに対する即時フィードバック機能や修了証などを含む柔軟な評価機能によって学習者にフィードバックが提供され、学習が順調に進行します。
Minitabは、お客様企業の従業員の成長をサポートすることにも力を入れております。そしてお客様と密接に連携し、必要な場合には専門的なアドバイスを提供し、学習教材を定期的に更新して、従業員のスキルセットにさらに上積みする新しいトレーニングと学習計画を提供します。 現地開催、バーチャルクラスルーム、または自分のペースで学習する形式などお好みの学習方法で、当社の専門家がデータの力を簡単に理解、分析、活用できるようお手伝いいたします。
データリテラシーをより高め、より多くの情報に基づいてビジネス上の意思決定を下しましょう
出典:
Gartner Annual Chief Data Officer Survey, Gartner
A Data and Analytics Leader's Guide to Data Literacy, Gartner
Data Health Survey, Talend
Data Literacy Playbook, Gartner