ねえハニー、俺がトレーラーを後ろにつないでいる間に、子供たちを車に乗せてくれないか。家族でオクラホマのクッシングに行くんだ!
これは2020年4月に原油価格が史上初の1バレル0ドル未満になったとき、私が真っ先に考えたことです。もちろん、オクラホマまでドライブで往復するのにかかった費用は、私が原油を仕入れられるだけ仕入れて後で得られる実利より高額だったと思います。私には原油を保管するつもりもありませんでした!バレルを受け取り、同時にお金まで受け取るとは魅力以外の何物でもありませんでしたが、入手して保管するというプロセスが私には足りませんでした。
当然ながら、このようなマイナス価格は長くは続かず、すぐに反発して、次の2年間で1バレル122ドルまで値上がりしました。現在1バレル90ドルですが、これをお読みになる頃には違う価格になっているでしょう。このような価格変動は、石油・ガス会社が俊敏性を高め続けなければならない理由を示しています。トップを走る組織は、変革を加速するメソッドを採用しています。それによって、どの分野でコストを削減するのか、効率を改善するのか、あるいは業務を拡大するのか、といったことが特定できれば、会社は成長を最大化できます。工程を改善させるための取り組みは短期的な成功をもたらしますが、長期的な成功を目指す戦略の確立にも役立ちます。
工程要件を過小評価すると、生産が遅くなったり、意図しないシャットダウンが発生したりする可能性があります。一方、工程要件を過大評価すると、有益な資本の動きを妨げる可能性があります。
バリューストリームマップは、プロセス改善において、重要なツールになる可能性があります。バリューストリームマップは、製品またはサービスがバリューストリーム内を移動する際の資材と情報の流れを示します。ここには製品またはサービスの生成に必要なすべての活動が含まれています。現在の工程や、将来実行したい工程を表すバリューストリームマップを作成することができます。
これは、石油精製工程のバリューストリームマップの例です。全体を見渡し、広い範囲の非効率性を見つけることができます。また、精製や流通などの特定の工程を深く掘り下げて、生産性を向上させることもできます。
以下の2例では、実在する会社が工程改善を用いて利益を得た方法を知ることができます。最初の例は、保有車両の活用効率を高めた企業の例です。2つ目の例は、企業が必要なスペックを上回る燃料を生産するためにどれだけ資源を浪費していたのか、また過剰に高い生産品質をいかに抑えることができたのかを示しています。
天然ガス液(NGL)鉄道車両を保有するある精製会社は、車両の低い使用率に対して、高くつくコストに悩まされていました。そこでネットワークを見直したところ、コスト削減の機会を特定し、コスト効率化に対して会社がそれまで間違ったアプローチをしていたことを発見しました。経営陣はこれまで保有車両のパフォーマンスを測定するにあたり、車両の使用回数に注目していました。つまり、特定の期間における鉄道車両の平均輸送数に注目していました。これは、鉄道車両の使い道が製品の輸送のみであると暗に想定されています。しかし実際この企業は、インバウンド物流の変動を緩和するために積載済みの鉄道車両を保持しつつ、運用が混乱した際にストレージを提供するため、空の鉄道車両も保持していました。このより広い見方を持って全体的な保有車両の規模を分析することにより、最終的に保有車両の規模を拡大することを推奨されるようになりました。この会社のチームは、鉄道車両利用の定義を輸送以外の用途を含むように再定義することにより、NGL供給の継続性を危険にさらし、変動を緩和する能力を低下させる可能性がある結論を回避することができました。
ある精製会社は、液体のブレンド工程で製品スペックの目標を満たす点で課題に直面していました。この会社のガソリンとディーゼルは、必要とされるスペックを上回る品質で生産されていましたが、スペックを上回った分の報酬はありませんでした。この会社には損失が発生している分野を特定するアプローチがなかったため、詳細なバリューストリーム分析を実施しました。その結果、保守的なスペック目標、当初の精製方法からの逸脱、一貫性のない在庫管理方法、測定システムの再現性と信頼性が制限されていることなどの根本原因が見つかりました。この会社は、この分析情報により、オンラインのブレンド分析システムと、ブレンドの承認および監査工程を開発し、製品の過剰な品質を55%抑えることができました。
石油・ガス産業は、エネルギー市場で重要な役割を果たしています。調査と生産、輸送と保管、精製とマーケティングなどのどの段階でも、継続的改善の機会があります。このうちどれか一つの領域で効率を改善するだけでも、収益に多大な影響を与えることができます。