採用は、成長する組織にとって生命線です。適切な人材を確保できれば、即戦力になるでしょうが、誤った人材を採用すると、組織の目標への前進が妨げられ、後退することすらありえます。従業員の離職にも多大なコストがかかります。具体的には、採用、新人教育、契約解除または未消化有給休暇の管理、抜けた人材の穴埋めの管理のコストなどです。
多くの人事の専門家は採用に関係する状況を把握しようとしていますが、組織が大きくなるにつれて、従業員の働き方を監視するのが難しくなることもあります。簡単な統計分析を使用すれば、適切な候補者に的を絞り、すばやく採用する科学的アプローチを取ることができます。
このステップには、さまざまな方法があります。以下の例では、ある人事担当者が、会社にとって最も効果的な採用場所はどこなのかを見極めます。ニューヨークのある一流金融サービス会社は、採用活動をアイビーリーグ大学、地元ニューヨークの学校、ミシガン大学、ペンシルベニア州立大学、自社の創業者の母校に的を絞っていました。
まずはデータを収集して、新入社員を棒グラフに表わし、学校ごとの出身者を確認していきましょう。これには、[グラフ] > [棒グラフ] > [一意の値のカウント] を選択します。[単純] で [OK] をクリックします。
[カテゴリ変数]で、[学士] を選択します。
グラフは以下のようになります。
棒グラフによれば、採用活動をすべての学校で同様に実施したにもかかわらず、ペンシルベニア大学から最も多くの人材を採用しています。またコロンビア大学、コーネル大学、ニューヨーク大学、ペンシルベニア州立大学からも、多数採用できています。
ハーバード大学とプリンストン大学ではあまり採用が成功していません。したがって、この学校での求人をやめて時間と資金を節約するか、あるいは候補者を引き付けるより良い方法を探すためにさらなる調査を行なうことができます。
棒グラフを見れば、会社が採用について、どこで成功しているのかがわかります。ですが、人材の質についてはわかりません。どの学校から優れた人材が輩出されているでしょうか?
人事部門は、箱ひげ図分析を実行して、各学校から採用した個人の成績と在職期間を確認します。これには、[箱ひげ図の作成] > [2つのグループがある1つのYを選択] に移動します。
グラフ変数は[平均成績] を選択し、カテゴリ場合は[学士] を選択します。
グラフは以下のようになります。
2つの箱ひげ図に基づいて、人事部門は採用した個人の成績の洞察を得ます。興味深いことに、ハーバード大学、ペンシルベニア州立大学、ミシガン大学出身の人材は、それぞれ一貫して最高成績を収めています。コロンビア大学、ニューヨーク大学、プリンストン大学も確かな人材を生み出していますが、ばらつきがあります。エール大学とブラウン大学は、平均して、優れた成績を上げていません。
これ以上のデータ分析がなければ、ハーバード大学、ペンシルベニア州立大学、ミシガン大学に求人の的を絞るかもしれません。しかし、人材がどの分野で成功しているのかをさらに分析することが重要です。そのために、交互作用プロットを実行します。
このグラフを使用して、特定の分野で成功した人材の出身校を特定できます。グラフを見ると、ミシガン大学の人材はほとんどの部門で好成績ですが、特にマーケティングで強いことがわかります。ペンシルベニア州立大学の出身者も一貫して好成績を収めていますが、セールスで優れています。ばらつきの大きいプリンストン大学は、人事で極めて優秀ですが、他の分野ではそれほど良くはありません。ハーバード大学の出身者は全般的に好成績ですが、研究開発での成績が最もよくなっています。ばらつきの大きいコロンビア大学は、非常に強力なエンジニアを生み出しています。この会社の主要な採用大学であるニューヨーク大学は、すべての部門でおおむね確かな結果を出しています。
採用担当者は、この知識を武器に、求人活動にかける労力を減らしつつ、的をもっと絞れるようになりました。ブラウン大学やエール大学などの特定の学校を除外して、資金を節約し、求人活動を軽減することができます。減らした分を、一貫して好成績の人材を輩出するハーバード大学などに充てるか、資金をそのまま節約することができます。
セールス担当者の増強などの特定のニーズが生じたら、採用担当者は過去に成功しているペンシルベニア州立大学に的を絞ることができます。採用人数が増えないプリンストン大学では、あらゆる分野の人材を採用しようとするのではなく、人事分野の人材を採用することに注力できます。
概して、Minitab Statistical Softwareでデータを分析することで、人事の専門家は求人活動の的を絞り、より効率的に業務をこなすことができ、組織にとってより良い結果を生み出せます。
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